「――この中に、数多の魂が入っているのか」
汗ばんだ肌に無遠慮に触れてくる手のひらは、学者と言うよりは職人に近い感触をしていた。武人ほど硬くはないが、文官のような柔らかさもない。指尖球に真新しい胼胝を拵えたそれは、カピターノの心臓の上でピタリ動きを止めた。
「それは、今すべき話か?」
大きなため息とともに窘めれば、好奇に満ちた赤い目がこちらを向く。眦は朱に染まり、まだうっすらと涙がにじんでいた。息は少し整ってきただろうが、カピターノが今がどういう状況なのかを教えるように腰を揺すると、また小さく息を詰めた。
それでも彼は、言葉を止めるつもりはないようだ。
「重要なことだろう。お前の中にいる魂に、私のこの姿は見えているのか?」
「見え……ては、いないと思うが……」
「では声は? 彼らの反応はあるのか? そもそも――」
「ドットーレ」
数分前まで快楽に喘ぎ、震えていたとは思えない饒舌さに、カピターノはもう一度息を吐く。
矢継ぎ早に投げられた質問には答えず――そもそも、己の内にいる彼らと意思の疎通ができた例はない――カピターノは未だ己の胸部から離れないその手を、乱雑に引き剥がした。
「落ち着くまで待ってやろうと思ったが、必要はなさそうだな」
「いや、待てっ……」
慌てた様子で暴れる四肢を押さえ込み、「ちがう」とうそぶく口腔に舌をねじ込んで黙らせる。
向かい合わせの体勢のまま覆いかぶさると、彼の両足はカピターノの腰を挟む形のまま、かかとが浮いた。
「カピターノ! 話を……!」
「あとで聞こう」
息継ぎのついでに短い言葉を交わし、姦しいドットーレの口をもう一度塞いだ、諦めず睨みつける目には、理不尽な扱いへの抗議の色が混ざっていたが、無視した。